アンドレイ・ググニン ピアノリサイタル|チャレンジするって尊い

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年11月にオープンしたファツィオリがある渋谷ホールでアンドレイ・ググニンのチャイコフスキー国際コンクール ドライランコンサートを聴きました。


この記事を書いた人
伊奈葉子 / Yoko Ina Piano Teacher

音楽と読書とお茶時間で出来ています。ピアノで故障する人・無駄に苦しむ人がなくなり豊かな音楽で世界がいっぱいになる事を願ってピアノ・ベーシック・トレーニング&レッスンをしています。
詳しいプロフィールはこちら


ドライ・ラン・コンサートとは

ドライ・ラン・コンサートというのは、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。私もこの言葉を今回はじめて知りました。

ドライ・ラン・コンサートとは、コンクールに参加する前にコンクールで演奏するプログラムを全曲通して演奏するコンサートを指すそうです。

サロンコンサートが盛んなヨーロッパでは、始まる前と休憩時間にドリンクとカナッペのような軽いフードを楽しみ、演奏終了後には出演者を囲んで乾杯&パーティを楽しみつつ、演奏者=コンクール参加者を激励するというものだそうです。

主催者であるMCSさまは、若い音楽家を支援していらして、アンドレイ・ググニンもそのひとりなのですね。

ググニンと共にロシアからやって来たボロジンスキーパン。

アンドレイ・ググニンを聴きたかった理由

アンドレイ・ググニンは、1987年ロシア生まれ。
モスクワ音楽院で故ヴェラ・ゴルノスタエヴァに学び、2013年ベートーヴェン国際コンクール第2位、2014年ジーナ・バッカウアー国際コンクール優勝、2016年シドニー国際コンクール優勝。マリンスキー劇場でヴァレリー・ゲルギエフと共演。

ウィーン楽友協会、ニューヨーク・カーネギーホールなどでもリサイタル、室内楽、協奏曲で出演、ヴェルビエ音楽祭、ルール・ピアノ音楽祭をはじめ世界各地の音楽祭に出演、既にCDも出していて・・・

要するに、もうしっかりキャリアを積み重ねているピアニストですが、年齢制限ぎりぎりのラストチャンスにどうしてもチャイコンことチャイコフスキー国際コンクールを受けたいらしいです。

何で私がググニンを聴こうと思ったのかと言うと・・・

ググニンを語るには、ヴァディム・ホロデンコ抜きでは始まりません。

2007年にエリコンことエリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門に参加したホロデンコに熱を上げた私は、その後彼の演奏をYouTubeで追いかけ続けました。

2008年にサン・マリノ国際コンクールのデュオにホロデンコと一緒に弾いていたのがググニンでした。

ホロデンコと一緒に弾いているググニンということで密かに注目していたら、ベートーヴェンコンクール2位、シドニー優勝と躍進し、いつかライブで聴きたいと思っていたところで、今さらチャイコンに出る?!というニュースと共にドライ・ラン・コンサートを知り、これは聴かなければと出掛けた次第です。

p、ppへの並々ならぬこだわり

ライブで初めて聴いたググニン、p、pp、pppへの並々ならぬこだわりを感じました。

身長もそれなりにあって、頑丈そうで、いくらでもパワー出そうなのに、そんなことには全く興味ない・・・という雰囲気で優しく撫でるように鍵盤に触れるのが印象的でした。

この日のプログラムではベートーヴェン『ワルトシュタイン』やチャイコフスキー『デュムカ』でそれが素晴らしく活かされていました。

ラフマニノフ『音の絵』も良かったですし、リスト『超絶技巧練習曲』より「狩」は(叩かない)豊かなf、ffが素晴らしかったです。

ベートーヴェンが素晴らしかった!

ググニンはベートーヴェンコンクール2位に入賞していますが、この日のプログラムでも、ワルトシュタインが素晴らしかったです。

それも、パワーでガンガン聴かせるとか、推進力でグイグイ引っ張るというのではなく、訥々と進行するドラマにいつの間にか引きこまれて最後には唸らせるみたいな本格派の雰囲気でした。

音楽家には、フェミニストやナルシストタイプが少なくないですが、ググニンは完全な硬派、今時の日本では絶滅危惧種になってしまった男気のあるタイプです。

チャレンジするって尊い

・・・で、ググニンのこのドライ・ラン・コンサートを聴いた時、こんなにキャリアを重ねているのにチャイコンに出るのか?とびっくりしました。

今さらというのもあるし、年齢制限ギリギリでエントリーしていい結果を得た例はほとんどありません。

ですが、今日のググニンの演奏を聴いて、チャレンジするってやはり尊いことだと思いました。

チャイコンの参加者は明日5/13日本時間17時に発表になるとのことですが、その結果がどうであれ、これからも彼の演奏を楽しみにしています。。。

【追記】チャイコン1次予選参加者の25人に入りました!!

アンドレイ・ググニン ピアノリサイタル プログラム

アンドレイ・ググニン
チャイコフスキー国際音楽コンクール ドライ・ラン・コンサート

☆プログラム

プロコフィエフ: ピアノ・ソナタ第7番『戦争』
バッハ=ラフマニノフ: ヴァイオリン・パルティータ
ショパン: ピアノ・ソナタ第3番
(以上第二次予選課題曲)

~休憩~

バッハ: 平均律第1巻より『前奏曲とフーガ』 変イ長調
ベートーヴェン: ソナタ第21番『ワルトシュタイン』
ラフマニノフ: 練習曲 『音の絵』 Op.39-4
ショパン: 練習曲『エオリアン・ハープ』 Op.25-1
リスト: 超絶技巧練習曲第8番『狩』
チャイコフスキー: 『ドゥムカ』
(以上第1次予選課題曲)

*前半と後半が当初の発表から上記のように変更になりました。

2019年5月12日(日)15時開演
渋谷ホール(渋谷ホール&スタジオ5F)

主催:MCS Young Artists