ピアノ・ベーシック・トレーニング5つのボディワークと指のストレッチでウォーミングアップをしたら、スケール・アルペッジョの前に・・・
タッチの基礎練習をしましょう!
ピアノはとても簡単に音が鳴ります。
力が入っていようが、
ふにゃふにゃの指だろうが、
とにかく鍵盤を押しさえすれば
それらしい音が鳴ってしまいます。
誰でもできると言えば、歌も誰でも歌えます。
声を出すことはピアノの音を鳴らす以上に誰でもできます。
でも歌曲やオペラアリアを歌うためには発声練習しますよね。
そうしないと歌えないからです。
声楽がまず発声であるように、
ピアノもタッチからです。
練習しているのになかなか弾けない・・・
練習すると手が痛い・・・
悩んでいる人はタッチの基礎練習です!
Contents
思うように弾けないのは、そもそもピアノの音が鳴る仕組みを理解していないから
ピアノは、簡単に音が鳴るけれど、演奏するのは決して簡単ではありません。
練習しているのに、弾けない・・・
手が痛い、肩が凝る・・・
というケースのほとんどは、
そもそも、
ピアノの音が鳴る仕組みを
よく理解しないままに、
やみくもに指を動かしているためです。
ハンマーの動きを感じていますか?
では、ピアノの音が鳴る仕組みを簡単におさらいしましょう。
ピアノは鍵盤を下げると音が鳴りますが、
音が鳴るのは鍵盤が底に着いた時ではなく
鍵盤の底から約1mm上のエスケープメントレベルと呼ばれるところです。
エスケープメントレベルを通過する瞬間に
ハンマーが跳ね上がって
弦を叩くことによって音が鳴ります。
詳しくはこちら。
繰り返しますが、
ピアノの音が鳴るのは、
ハンマーが弦を叩くから
であって、
指を鍵盤の底に打ちつけて
音を出すのではありません。
このことを本当に理解した時、どういうタッチが求められるのかわかります。
ピアノの音が鳴る仕組みに適った弾き方をすれば、練習すると手が痛くなるなどの問題(のほとんど)は解消されるはずです。
タッチとは鍵盤に触れてダンパーとハンマーの動きをコントロールして音を奏でること
ピアノを弾くというのは、
ピアノの鍵盤の深さ1cmの動きの中で
ダンパーとハンマーの動きをコントロールして
様々な響きを生み出し、
音楽を奏でることです。
鍵盤に触れて
ダンパーとハンマーの動きを
コントロールして
音を奏でることが
タッチ
です。
音が出ない・・・
と言われるのも、
もっと歌って!
と言われるのも
メロディーと伴奏のバランスが悪いのも・・・
ハンマーの動きを
コントロールして
様々な響きを生み出す
《タッチ》になっていなくて、
ただ鍵盤を押し下げるだけで、
出る音は「楽音」ではなく「ノイズ」と同じ種類だからです。
鍵盤の動きでダンパーとハンマーの動きをコントロールできているか、ただ鍵盤を押し下げているだけなのか?
この違いは、
発声練習をしている歌手が美声でオペラアリアを歌っているのか、それとも、ただ歌っているのかの違いに似ています。
キーの動きとハンマーの動きを感じるタッチの基礎練習
ピアノで歌うために、
表現豊かに演奏するために・・・
声楽家が発声練習をするように、
ピアノ弾きもタッチの基礎練習をしましょう。
以下にご紹介する練習方法は、鍵盤の動きに対応したダンパーとハンマーの動きを感じてコントロールするための、極めて効果の高い練習方法です。
エスケープメントレベルを〈A〉
鍵盤の底を〈B〉とします。
- 片手ずつ行います。左手から始めましょう。
(普段使わない左手から意識的に始めることで脳はより活性化します) - 左手の小指でC(ド)の鍵盤に触れます。
指は全身の一部であり、自分自身の一部です。指先だけを動かす意識ではなく、自分自身の全てが小指の動きに注がれるように意識を集中します。座るフォームを意識して!参照:上達は座り方から - ゆっくりと無音で鍵盤をAの位置まで押し下げ、それに伴うダンパーとハンマーの動きを感じます。
音はかすかに鳴るかもしれませんが鳴っても鳴らなくても、鍵盤の動きとダンパーとハンマーの動きを感じることが大切です。 - Aの位置までボールを弾ませる感覚で鍵盤を2回動かしましょう。
- 3回目はゆっくりとBの位置(鍵盤を底まで)下げます。
エスケープメントレベルを通過する時の感触とハンマーの動きをよく感じます。ゆっくり押し下げると音は鳴りません(鳴らなくていいです)。
*鍵盤の底をめがけて指を降ろすのではなく、エスケープメントレベルを通過する瞬間に意識を集中します。
*鍵盤の底に指が着く時には全てが終わっています。くれぐれも鍵盤の底に指を押し付けることのないように。 - 鍵盤は指を離せば上がってくるようにできています。その上がってくるエネルギーを指先で感じます。
- 3回目は音を奏でます。鍵盤とダンパーとハンマーの動きを感じながらハンマーが鍵盤のコントロールを外れる瞬間に集中して、シンプルに楽器本来の響きを生み出し、鍵盤が上がってくるエネルギーを感じながら響きに耳を澄ましましょう(最低でも4拍)。
- 音が完全に消えるまで聴き続ける練習もおすすめします。ピアノの音が思いのほか長く鳴り続けることに驚くでしょう。
この練習を左手小指から
5⇒4⇒3⇒2⇒1
の順番で行い、
次に右手も同様に行います。
(右手はソ・ファ・ミ・レ・ド)
大事なことは
1本ずつの指が鍵盤に対して最適ポジションになること
です。
なお、なぜ小指から行うかというと、
腕・手は、解剖学的に尺骨(しゃっこつ)、すなわち小指側が軸になるからです。
軸になる小指のポジションを確認することで手は自然なポジションになります。
C dur(ハ長調)の「ド・レ・ミ・ファ・ソ」(右手はソ・ファ・ミ・レ・ド)
からはじめて、
翌日はc moll(ハ短調)、
その翌日は半音上げてDes dur(変ニ長調)、
その翌日はcis moll・・・
長調⇒短調で半音ずつあげて24調行います。
(24日で一巡したら、またC durから始めます)
ピアノの鍵盤に触れるのは指先ですが、ピアノは指先だけでは弾けません
タッチの基礎練習は、
ただ指先だけをカリカリと動かすのではなく
全身と頭と心(感覚)、
すなわち自分自身の全てで
鍵盤とハンマーとダンパーの動きを感じ、
ピアノの音を奏でるとは
どういうことかを感じる練習です。
ピアノは、指が動けば弾けるようになるものではありません。
指が鍵盤に触れることによって
ダンパーとハンマーの動きをコントロールし、
さまざまな響きを生み出し
音楽を奏でることです。
音が出ないのも、
速く弾けないのも、
自分の指にこだわるあまり、
ひとり相撲になっていて、
鍵盤の動きと
ダンパーとハンマーの動きを
感じていなくて、
そして、音も聴こえていないからです。
フィンガートレーニングや各種エクササイズも(人によっては)必要です。
ですが、まずは、
ピアノの音が鳴る仕組みを自分自身の全てで感じるためにタッチの基礎練習をしましょう。
手が痛くなる、弾けない・・・
そんな悩みを根本から改善しましょう。
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