クラシックコンサートのマナーは音楽の奇跡を分かち合うためにある

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音楽はライブが一番!

Youtubeで何でも聴くことができて、音楽家たちは次々とCDをリリースしている現代ですが・・・

演奏会場でライブで聴いてこそ、”音楽”の世界です。

クラシックのコンサートで気になるコンサートマナーは、”郷にいては郷に従え”の指針だと思えば何でもありません。どの世界にもその世界が成立し続けるためのルールがあるのと同じです。

クラシックコンサートのマナーは、音楽という奇跡を分かち合うためにあるのです。


この記事を書いた人
Ina / 伊奈葉子

ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪


コンサートマナーは沢山の人が一堂に会し音楽を楽しむための配慮

クラシックコンサートは、1000人を超える大ホールから数十人のサロンまで規模は様々ですが、いずれもにしろ、

  • 沢山の人が一堂に集まる
  • 音の芸術である音楽を楽しむ

場です。

クラシック音楽の特徴である「デリケートな表現」を考慮に入れれば、自ずとどう振る舞えばいいか想像できるというものです。

クラシックコンサートのマナーというのは、

演奏に集中できる環境を聴衆みんなで創り上げて、音楽の奇跡を分かち合おうね

ということ。

そのための配慮がマナーです。

演奏会では演奏以外の音は一切タブー

音は、嫌でも耳に入ってきます。

だから、演奏中の雑音は、邪魔でしかありません。

音の芸術である音楽、中でも、繊細な表現を楽しむクラシック音楽のコンサートでの音のタブーをあげてみましょう。

スマホ・携帯などの電子機器は電源を切る

公の場で、スマホや電子機器の着信やアラームはタブー!

まして、音に集中したい演奏会では厳禁です。

開演前には必ずアナウンスが流れます。

スマホ・携帯などの電子機器は電源をお切りください。

・・・にもかかわらず、時々鳴るんですよ。

それもppの、シ~ンとしていて一番いい時に・・・

私が遭遇した最悪のケースでは、ラファウ・ブレハッチのショパンのバラード第2番の最後ppのところで

ピ~~~♪タリラ~リラリ~~♪

と鳴ったことがあります。

あと数秒で演奏が終わるというシ~ンとしたあそこです。

現場近くにいた友人に後から聴いたところ、”犯人”は袋叩き状態に罵倒されたそうですが、同情の余地は全くありません!

だって、音楽をぶち壊しているのですから。

これは、例えば、

美術館に展示されている名画を
刃物で切り付けたとか、
彫刻を叩き割ったに等しいです。

そんなことしたら逮捕されますよね。

ところが音楽の場合、演奏中にスマホや携帯を鳴らして音楽をぶち壊しても逮捕されないんですよ・・・

なぜでしょうね?????

・・・と考えている人たちがクラシックコンサートに集まっています。

無事に生きて帰りたかったら、スマホ・携帯など電子機器は電源をお切りください。

冗談ではありませんよ。。。

えっ?!こんな小さな音もダメなの?!

スマホ・携帯などの電子機器の音だけでなく、あらゆる雑音が演奏の妨げになります。

なぜなら、

コンサートホールというのは、デリケートな表現をホールの隅々まで行き届かせる設計になっているため、音が異常に響くからです。

どんな音がホール中に響き渡り、演奏の妨げになっているか列挙してみましょう。

えっ?!こんな音までダメなの?!

と驚かれるかもしれませんが、ダメです!

  • プログラムをめくる音
    信じられないかもしれませんが、演奏中のシーンとしている時に不用意にプログラムをめくる音はホール中に響き渡っています。
  • 飴やガム
    喉がイガイガするのか、飴かガムかをカバンから取り出して口にする人が時々いますが、その音もホール中に響き渡っています。
    また、演奏中にガムをくちゃくちゃ噛んだり、飴を気持ちよさそうに味わうのも付近の人には迷惑この上ありません。その音、周囲に聴こえています。
    そもそもホール内での飲食は禁止です!
  • カバンの中をごそごそする
    バッグのマグネットをはずす音とか、ファスナーを開ける音から、鞄の中をごそごそする音もホール中に響き渡っています。
  • 寝息(いびき)
    演奏中に寝る方、結構いらっしゃるのですが、寝息やいびきはタブーです。忙しい現代人の事情は色々あるでしょうが演奏会前夜はよく寝ておきましょうね。。。
  • 傘や杖
    傘は基本的に会場内への持ち込みは禁止です。理由は、楽器は湿気を最も嫌うからです。どうしても持ち込まなければならない場合には、足元に横たえましょう。稀にですが、演奏中に倒れる音が響き渡ることがあります。どんな事情があるにせよ破壊行為です。杖も、座っている間は必要ないですよね。立てかけるのはやめましょう。
  • 音が鳴るものは演奏会に身につけない
    金属のチェーンがついたバッグや財布、2連以上のネックレスのような動くと音が鳴ってしまうアクセサリー類、鈴がついているようなバッグチャームなどはタブーです。
    あと洋服でも素材によっては、動くと”カサカサ・・・、シャカシャカ・・・”と衣擦れの音が鳴るものがありますが、ホール中に響き渡らないまでも、周囲の人には迷惑です。
    女性のピンヒールも足位置をちょっと動かしただけで”コツッ”と響くものはやめましょう。

・・・例をあげればキリがありませんが、

要するに、演奏中に許される音はないということです。

これくらいの音ならいいんじゃないか・・・という音はありません。

拍手のマナー

拍手のタイミングに戸惑うことがあるようですが、拍手は慌てなくてよいのです。

演奏者が挨拶モードに入ってから拍手するのが基本

交響曲のようにいくつかの楽章によって成り立っている作品で、楽章間での拍手は好ましくありません。

知らない曲で、どこで拍手したらいいのか迷う場合は、演奏者や指揮者が演奏モードから挨拶(お辞儀)モードになってから手を叩けば間違いありません。

拍手は人に合わせる必要はない

そもそも、拍手は絶対にしなければならないものではありません。

演奏が気に入らなければ拍手はしなくてもいいのです。

好演だったとしても、慌てて拍手する必要はありません。

私は、しばしば拍手が早すぎて残念に思うことがあります。

特に、曲の最後が静かに消え入るように終わる場合、静寂を十分に味わいたいものです。

なので、周囲がどんなに興奮して手を叩いていても、自分的に拍手するモードになるまで手を叩きません。

だって、叩けないもん。。。

本当に感動したら動けない、ということに同意してくださる方少なくないと思います。

でも、拍手するモードになったら、精一杯拍手しますよ。

カーテンコールの度にクレッシェンドになるように叩きます。

フライング拍手・フライングブラボーという暴力

フライング拍手・フライングブラボーとは、演奏が終わるか終わらないかのタイミングで待ち構えたように手を叩き始めたり、「ブラボー」と叫んだりすることです。

ひと昔前にはなかった現象ですが、近年問題になります。時に、休憩時間に小競り合いや怒号が飛び交うような喧嘩になるほどです。

そのせいで、開演前にこんなアナウンスが流れるようになりました。

・・・最後の音の余韻までお楽しみください。

実際、最後がpで終わるような曲の場合、演奏後しばらくは静寂を味わいたいものです。

それが、最後の音が鳴るか鳴らないかのところで拍手や「ブラボー」が聴こえるとそれまでの音楽がぶち壊しになってしまいます。

冗談でも、誇張でもなく、

フライング拍手・フライングブラボーは暴力!
音楽への破壊行為です!

演奏の妨げになるのは音だけではない

演奏中の物音がタブーなのはわかりやすいと思いますが、他にもタブーはあります。

音楽に集中するためには、聴覚以外の感覚を刺激するものもタブーです。例をあげましょう。

  • 身体でリズムをとったり、貧乏ゆすりはNG!
    音楽を聴きながら、自然に足でリズムを取ったり、身体を揺らしたりというのは自分の家で独りで聴いている時だけにしましょう。その動きは周囲の人には、音楽以外のリズムを感じさせてしまい、とても迷惑です。
  • 扇子やうちわやプログラムなどであおぐのもNG!
    音が鳴らなくても、リズムを感じさせるものは、NG!です。
  • 伝え聞いた話ですが、あるピアノリサイタルで最前列に扇子であおいでいた客がいて、イライラした演奏者が「退場するまで弾かない!」と怒ったこともあるそうです。
    気持ちはよ~くわかります。
    演奏者だけでなく、聴いている方としても、音楽と関係あってもなくてもリズムを刻まれるのは勘弁して欲しいです。
    特に夏の暑い日には、早めに会場に入り心身を落ち着かせましょう。
  • スマホをいじるのもNG!
    音が出なければスマホをいじったっていいじゃないか・・・いえ、ダメです!
    ライトを落とした本番中の暗がりの中でスマホのライトは非常に目立ちます。そういう刺激が演奏と鑑賞の妨げになるのです。だから、「スマホ・携帯などの電子機器は電源をお切りください」とアナウンスが流れるのです。
  • 香水も控えめに
    香りというのは、脳に最もダイレクトに届く刺激だとか。
    演奏会場で時々問題になるのが、強すぎる香水です。そもそもクラシック音楽を愛好する人はデリケートな感覚の人が多いので、香水の刺激が苦手な人も少なくありません。気を付けましょう。
    前夜にふつーに入浴して、洗濯してある清潔な衣服を着用すればいいのです。

このように具体例を挙げると、窮屈な感じがするかもしれませんが、実はそうではないのです。

音楽を鑑賞するとは音楽に身をゆだねること

音楽を聴くというのは、流れる音楽に身をゆだね、“彼方”を旅することだと私は思っています。

例えば、温泉に気持ちよ~く浸かっている状態に似ています。

気持ちよ~く温泉に浸かっている時の、あの何とも言えない気持ちよい感じ。

日常の全てのわずらわしさから解放されるあの心地良さ。

演奏会の至福はあれによく似ています。

あるいは、森林浴の心地よさにも似ています。

マイナスイオンたっぷりの空気の中、大自然に抱かれているような心地よさは、生きている喜びを感じられる演奏に出会った時に似ています。

私たちを日常のわずらわしさから解放し、彼方へ連れていってくれる・・・

生きていることに心から感謝できる・・・

これこそ音楽の奇跡です。

その奇跡が生まれる環境を創り上げるために、
そして、その奇跡をみんなで分かち合うために、

演奏会のマナーがあります。

まとめ

音楽家たちの多くは「音楽は奇跡」と言い、「演奏するのは音楽の奇跡を分かち合うため」と語ります。

演奏会のマナーは、音楽の奇跡を実現する場を聴衆みんなで創り上げようねというものです。

音楽の奇跡は、音楽が持つ世界“彼方”を旅するようなもの。

温泉に浸かるような至福や森林浴の心地よさに似ています。

私たちを、日常のわずらわしさから解放して生きるエネルギーや希望を与えてくれるのです。

そのために配慮しようね・・・というのが演奏会のマナーです。