江戸東京博物館で開催中のレオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の挑戦を観てきました。
楽しみなのは、初来日の『糸巻きの聖母』です。
今回の見どころとして、ポスター、チケットなど至るところに使われており、期待が高まります。
会期残すところ2週間余り・・・、
混み具合が気になり、調べてみると・・・
夕方、閉館間近の方がゆっくり観られそうな様子。。。
なのでお茶して・・・
旧安田庭園を散策し・・・
16時前に国技館を通り過ぎ、江戸東京博物館へ向かました。
思惑通り、展覧会帰りで両国駅に向かう沢山の人々とすれ違いまして・・・
首尾よく、ゆったりと鑑賞することができました。
Contents
序章 レオナルドの肖像-天才像と神話化
展示は、生前より伝説化されていたというレオナルドの肖像やエピソード絵画から始まりました。
レオナルドは、美しく均整のとれた優美な人物で、その容姿は美しかった。
アノーニモ・ガッディアーノ手稿より
確かにお洒落でスマートな肖像が並んでいました。
かなり神格化された感じもしますが、レオナルドなのでゆるします(笑)
私が興味を惹かれたのは、ジャン・クロード・マニゴー『動物を愛護するレオナルド・ダ・ヴィンチ、鳥を買い取り空へ放つ』。
町の行商たちが売っている小鳥を買い取って空に放すダ・ヴィンチと弟子を描いた銅版画です。
レオナルドの本質を垣間見るようでとても印象に残りました。
第1章 自然と人間 直感と観察
レオナルドは、彼独特の自然観・世界観を、直接観察することと先人たちの思想や作品と比べることで築いてゆきました。
素描は極めて卓越しているのでそれは自然の作品を研究するだけではなく、自然が生み出す以上の無数のものを研究する。
(「絵画の書」133)
展示された植物や人間、子供の素描の精巧さには目を見張ります。
特に、ダ・ヴィンチ自身による『花の研究』は、細かい!精密!
モノクロ写真かと思うほどでした。
第2章 「鳥の飛翔に関する手稿」-人間の限界を超えた飛翔、自然と神への挑戦
ここでは、人間の動き、飛ぶ鳥など、レオナルドの観察と研究などの手稿が紹介されていました。
その幅広い好奇心、飽くなき探求心・・・、
留まるところを知らず、ためらいなく進む、その姿勢が素晴らしい仕事を生むのだな~と感じました。
今回の見どころのひとつでもある「鳥の飛翔に関する手稿」は、何が描いてあるか、読めるわけでもないのに、立ち上るオーラの神秘に魅せられ、異空間に放り出されたようなひとときを過ごしました。
第3章 《糸巻きの聖母》-見えない世界を探る
交錯する視線や手の仕草の体系的な表現によって心の動き、見えない世界の表現に挑戦したレオナルド。
『ユダの手の研究』、『受胎告知のための左手と腕の研究』など、レオナルド自身による素描は、見事と言う他ありません。
「ここまでやるの!?」の世界です。
このコーナーには、他の画家のものもあるのですが、いや~、はっきり言って、気の毒なほど引き立て役になっています(笑)
さて、『糸巻きの聖母』。
ポスターになっているこの絵です。
長い列ができていて、20分くらい並んだでしょうか・・・
待っている間も、ちらちら見えたのですが、やはり間近で見ると凄いです。
何が凄いって動き出しそうなんですよ。
一番わかりやすいのは、タップしたら動画が再開されるあの感じです(笑)
じっと観ていると、幼子イエスの体温が感じられてきますし、可愛い声が聞こえてくるようでもあります。
抱きかかえるマリアの手が幼子イエスの動きに合わせて動きを感じますし、マリアの頬をなでる空気を感じるようでもあります。
マリアの眼差しを見ていると、何を考えているのか脳内スキャンしている気分になってきます。
待っている人が沢山だったので、あまり立ちどまるわけにもいかなかったのですが、1時間眺めていたら、マリアと会話ができたかもしれません(笑)、そんな雰囲気でした。
・・・展示室では、モティーフの意味が説明されていました。
マリアの右手-母なる大地のエネルギー
マリアの左手-過酷な運命に幼子を向かわせないように抑えている
岩-地質学的に生命の象徴
二重の十字架-神と人間をつなぐ神秘の木、生命の木のシンボル
第4章 レオナルドの教え-ルネサンス期の工房とレオナルド・アカデミー
レオナルド派の作も展示されていますが、やはりレオナルド自身の絵が凄すぎます。
弟子も等しく描けるわけではないな~と思いました。
演奏だって、師が偉大でも、弟子は弟子・・・同じですよね。。。
レオナルドの抱いた都市計画
公式ホームページには紹介がないのですが、最後にレオナルドの設計した橋やブロック、飛行機などの模型が展示されていました。
これがとても面白く、特に『ベーラとコンスタンティノーブルを結ぶ橋』の美しさは惚れ惚れするほどです。
天才とは、ノーリミット、とことんやる人
レオナルド・ダ・ヴィンチは、今さら言うまでもなく天才です。
今回、その天才の秘密をほんのほんの少し、垣間見たような気がします。
それは、あらゆる意味でリミットがないということ。
「ふつー、そこまでやらないよ」というところをはるかに超えて、どこまでも探求し続け、考え続け、描き続け、広げ続ける、壁も限界も何もない
オール・バリア・フリーな人。
そして、もうひとつ感じたのが美と自由への限りない憧れ。
美に対する感性は、まさにギフトでしょう。
鳥への尽きぬ関心と空を飛びたいという願いは、自由への限りない憧れそのものだと感じました。
レオナルドが手がけるすべてのものは、限りない優美さをまとう。
豊かな知性に満ちた頭脳を駆使することで、考え及ぶすべての分野にも研究の対象を広げていったのです。
by ヴァザーリ
鑑賞できて本当に良かったです。。。
グッズやお土産を滅多に買わない私ですが、これは買いました。
「鳥の飛翔に関する手稿」のチケットホルダー。
しばらく、レオナルドの世界に浸り、あっちへ逝ったままになりそうです。
『レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦』会期は4/10(日)まで。
並んでも観る価値大いにありますよ!