デトロイト美術館展|絵は色んなことを感じさせてくれる

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作品をゆっくり鑑賞したいなら、美術館は雨の日(または雪の日)に限る・・・

年末も押し迫った雨の火曜日12/27にデトロイト美術館展へ行きました。


この記事を書いた人
Ina / 伊奈葉子

ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪


デトロイト美術館展とは

自動車産業抜きに語れないデトロイト美術館

デトロイトと言えばフォード、クライスラー、ゼネラルモーターズなど自動車産業で知られる工業都市。

繁栄は富をもたらし、富は芸術を育む・・・

1885年に創設された公立デトロイト美術館は、100を超えるギャラリーに古代エジプトから現代アートまで65,000点を超える膨大なコレクションを有する全米の美術館の中で6位に入る規模に成長しました。

やがて時代は変わり、栄華を極めた自動車産業も陰りを見せ、デトロイト市の財政も影響を受けます。

2013年には財源確保に所蔵品売却の可能性がささやかれましたが、市民や財団をはじめ国内外からの支援により1点の作品も失うことなく存続しています。(日本の『トヨタ』も援助企業のひとつだそうです。)

ヨーロッパ近代絵画一挙終結した『デトロイト美術館展』

今回の展覧会は、そのデトロイト美術館の膨大なコレクションからモネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソなど52点が来日しました。

52点を少ないと思う向きもあるかもしれませんが、選び抜かれた珠玉の作品たちはずっしりと心に残り、大満足な展示でした。

撮影できるデトロイト美術館展

さてさて、なぜ年末押し迫り、かつ土砂降りの火曜日に行ったのかというと・・・

月曜日・火曜日は作品の写真撮影OKなのです。

館内も明るく、撮影しやすい環境でした。

撮影できる美術館展は滅多にありませんからこのチャンスを逃す手はありません。
(フラッシュや動画撮影は不可、また一部作品のSNS等への掲載不可)

絵画鑑賞の試み~お気に入りに自分を映してみる

私にとって絵は、音楽ほどに愛着がなく詳しくないアウェイな世界です。

それゆえ絵を観る時には作品の価値がどうのよりも、私がどう感じるか、私が好きか嫌いか、私が身近におきたい作品かどうか・・・100%主語「一人称」のマイワールドに浸っています。

今回、撮影OKということでその傾向が際立ちました。すなわち、

シャッターを切りたくなるかどうか・・・
私のiPhoneに納めたい絵かどうか・・・

完全なる私的備忘録、自分を見つめる時間となったデトロイト美術館展。

4章構成の展示順に私小説ならぬ私的備忘録を綴ります。

印象派

印象派を代表するモネ、ルノワール、ピサロ、ドガの名作は明るく華やかです。

絵に囲まれていて一番心地よいのがこのコーナーでした。

ルノワール 「白い服の道化師」

モデルはルノワールの次男で後にフランスを代表する映画監督になるジャン・ルノワール。

この絵はいつ観ても心温まります。

ドガ 楽屋の踊り子たち

ドガは華やかなステージよりも稽古や舞台裏を描いた絵が多いのですよね。

色調は暗めですが、雰囲気は明るくどこかユーモアがあります。

横長の構図は日本の浮世絵などの影響を受けているとのこと。

ドガ バイオリニストと若い女性

日常のひとコマを切り取ったような絵にドガと写真の関係を示している・・・との解説。

ショパンと深い親交があったドガ。彼の絵には音楽があふれています。

ピサロ 小道

点描画で優しい空気を醸す奥行きある絵は、心の中の懐かしい風景と共鳴します。

こういう絵は、本物をある距離から眺めないと何のことかわからないのですよね。

モネ グラジオラス

今回の展示の中で私にとって最も印象深い作品。
降り注ぐ陽射しと風が感じられ、幸福感が満ちていました。

青い服の女性のモデルは、モネの妻カミーユ。

ポスト印象派

ゴッホ「自画像」「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」(日本初上陸)、ゴーギャン「自画像」など今回の目玉コーナー。

実は、私はゴッホをどうしても好きになれないのです。

ゴッホは、明るい色を使っているけれど明るくない・・・

ゴッホの黄色からは「黄色い声」が聴こえてくるようで観ていて辛いし、あの激しい筆致は心のささくれのような気がして痛いです。

そんなことを感じるのは私だけのようで・・・

ゴッホの2枚の絵の前は人だかりが出来て、盛んにシャッター音が鳴っていました。私が観なくても観る人いっぱいのゴッホです。

ドニ トゥールーズ速報

このコーナーで気に入った1枚。

「トゥールーズ速報」という新聞の広告として描かれた絵画版だそうです。

踊っている女性の明るい表情と躍動感にイマジネーションが刺激されます。

20世紀のドイツ絵画

第一次世界大戦前後にドイツ・オーストリアで活躍した画家カンディンスキー、ココシュカ、キルヒナーベックマンなどの作品。のちにナチス・ドイツによって退廃芸術と弾劾された作品たち。

カンディンスキー 白いフォルムのある習作

画面右上の青と金色のドームの建物は教会で、カンディンスキーが敬虔なロシア正教徒であったことを表すそうです。

実物からは、色のインパクトから力強いエネルギーが伝わってきて心の奥底が温かくなってきました。

キルヒナー 月下の冬景色

強い不眠症に悩んでいたキルヒナーがアトリエの窓からの風景を描いたもの。

最後は自ら命を絶ったキルヒナーですが、なぜかゴッホに感じるような狂気は感じられません。どこか親近感さえ覚えます。

20世紀のフランス絵画

マティス、ピカソ、モディリアーニ、デュフィなど芸術の都として不動の地位を築いた20世紀のフランス絵画の代表作が並びます。

なお、ピカソのほとんどの作品とあといくつかは撮影はOKですがSNS等への掲載不可となっていました。

ピカソも人気でしたが、私はピカソも苦手です。見ていると自分の姿があの絵のように歪んでくるような気するというか・・・相容れないものを強く感じます。

しかし、ピカソも人気でした。。。

デュフィ 静物

差障りのない絵が好きなのかと言われればそうかもしれません。私が芸術に求めるものは光であり、温かさであり、優しさであり、要するに生への慰めなのかもしれません。

「今日の芸術はここちよくあってはならない・・・」とは尊敬する岡本太郎のことばですけれど、私は心地よい絵が好きです。

この絵の実物からは、何とも言えないおかしさ、ユーモアが伝わってきました。

マティス 窓

マティスは愉快です。

明るさに満ちていて、色と形の調和の美しさから伝わるメッセージに力があります。

マティス ケシの花

この絵とモネ「グラジオラス」が私にとってのこの展覧会のトップ2でした。

マティスの鮮やかな色彩から受ける突き抜ける感じが爽快です。

まとめ~絵を観ることは旅すること

美術展に並ぶ多くの作品には、目に留まる作品とすぐに立ち去りたくなる作品があります。

有名だからとか評価が高いかどうかとは別に、自分にとってどうなのかということをよく感じることが鑑賞の楽しみだと思うのです。

私は、絵は詳しくないし、語れません。

でも、自分にとってどうなのかということは感じます。

それは絵画も音楽も芸術すべてに言えること。

わかるわからないとは別に、自分にとってどうなのか、それを感じることこそ鑑賞に大切な態度です。

好きな人のことは色々知りたくなります。食べ物は何が好き?どんな本を読む?好きな場所は?・・・そんな風に会話が弾み、親しくなっていくように、芸術も自分が好きだと感じて何か知りたくなったらそれから調べればいい。。。

好きな絵もそうでない絵も・・・私に色んなことを感じさせてくれて未知の世界を広げてくれます。絵を観ることは旅することと同じだと思うのでした。。。

絵を観よう!
音楽を聴こう!

開催情報『デトロイト美術館展』

【会期】 2016年10月7日(金)~2017年1月21日
【開館時間】9:30~16:30(ただし、毎週金曜日は9:30~20:00)
 *入館は閉館の30分前まで

【会場】上野の森美術館 〒110-0007 東京都台東区上野公園 1-2
 JR 上野駅 公園口より徒歩3分。
 東京メトロ・京成電鉄 上野駅より徒歩5分

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ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪