エトワール・ガラ2016「人生を変えたければバレエを観よう!」

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エトワール・ガラ2016、8月7日(日)14時からのマチネAプログラムに行って参りました!

東京公演最終日と日曜日が重なり、客席はほぼ満席。

待ちに待った公演は、膨らんだ期待を満たして余りある素晴らしいものでした。

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この記事を書いた人
Ina / 伊奈葉子

ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛する好奇心旺盛な永遠の”お子ちゃま”Inaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪


パリ・オペラ座の頂点に立つエトワールたちが来日

300年以上の歴史を誇るパリ・オペラ座バレエ団は階級制になっています。

①étoile(エトワール)- 主役
②premier danseur(プルミエ・ダンスール)- 第一舞踏手
(女性はプルミエール・ダンスーズ)
③sujet(スジェ)- セカンドソリスト
④coryphée(コリフェ)-カドリーユのリーダー
⑤quadrille(カドリーユ)- コールド(群舞)

見てわかるように、エトワールはこのヒエラルキーの頂点に立つ、選ばれたものへの称号なのです。

今回は6名のエトワールと3名のプルミエ・ダンスールと1名のスジェ、そして、ドイツ ハンブルク・バレエ団の2名が来日しました。

なぜ、エトワール・ガラにハンブルク・バレエ団?

と思ったのですが、観て納得しました。

彼らがいることで、パリ・オペラ座がどういうバレエを目指しているのかを理屈抜きで感じることができましたし、ハンブルク・バレエ団の目指すところもわかりました。

とても面白かったです。

あっ、「エトワール・ガラ」の「ガラ」とは、色んなバレエの演目からいいところを抜き出して集めた、いわばハイライトです。

一方、「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ドン・キホーテ」などの演目は全幕物と呼ばれます。

今回の来日公演では、AプログラムとBプログラムの2種類があり、私はAプログラムを鑑賞しました。

以下、素朴な感想を綴ります。

グラン・パ・クラシック

古典の端正な美しさは、パリ・オペラ座独特のエレガンスによって、一層の輝きを放っていました。
一瞬にして別世界です!

バレエってまず容姿なんですよね。パリ・オペラ座をはじめ、世界の一流バレエ学校に入るためには、3代遡って肥満がいないかどうか調べるそうです。

そんなこんなで幼い時に選び抜かれ、厳しい修行を積み重ねたダンサーたちの中でも、特に選ばれし彼らの踊りに身体中の細胞が入れ替わるような浄化を感じました。

~♪~

振付:ヴィクトル・グゾフスキー、音楽:フランソワ・オーベール
出演:ローラ・エケ&ジェルマン・ルーヴェ

スターバト・マーテル

スターバト・マーテルとは、カトリック教会のラテン語聖歌。十字架に架刑されたキリストの傍らで聖母マリアがうたう「悲嘆にくれるも聖母は立ち尽くす」に由来しています。

昇華された悲しみの美しさというのでしょうか。静謐な空気で浄められる素晴らしいでコンテンポラリーでした。

~♪~

振付:バンジャマン・ペッシュ、音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ

シンデレラ・ストーリー

パリ・オペラ座の古典とコンテンポラリーに続いて、ハンブルク・バレエ団登場。

いや~、ドイツとフランスって全く違いますね。

赤があるから白がなお美しい、そんな対比が興味深かったです。
ドイツのイメージには「堅実」がありますが、踊りも虚飾を排した精神性の高い、内面が形をつくるという誠実さを感じます。

~♪~

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

カラヴァッジョ

人間の肉体って、それ自体が美しいのだな~とほれぼれする踊りでした。

身体の動きにはここまで可能性があり、そして、こんなにインスピレーションを刺激してくれるのですね。

極限までミニマムな衣装(と呼べるのだろうか)は、客席から観ると、まるで本当に男女の絡み合う姿そのもの!

ですが、そこに神聖な空気を感じるのはやはり、精神性の高さですね。

イケメンとして人気のマチュー・ガニオは、やはり、カッコイイです。

~♪~

振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディの原曲に基づく)
出演:レオノール・ボラック&マチュー・ガニオ

三人姉妹

細やかな感情表現に、じっと見入ってしまいました。

繊細な動きのひとつひとつによって、心の動きが文字通り手にとるように表現される・・・

人間の肉体と動きの可能性は無限だと思った。

~♪~

振付:ケネス・マクミラン、音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&オードリック・ベザール
ピアノ:久山亮子

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ

コンテンポラリーがふたつ続いた後で観る古典は、型の美しさが際立ちます。

手を動かすだけであたりが香り立つような格調高さに、覚醒するような興奮を味わって前半終了です。

~♪~

振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:ドロテ・ジルベール&ユーゴ・マルシャン

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プログラムは充実のダンサー情報、演目紹介で満足な内容でした。

『くるみ割り人形』より

小柄なボラックは煌びやかな衣装をまとうと、本当に妖精かお姫様のよう・・・
この世のものとは思えない美しさでした。

見ていると、夢の中にいるような気分になるのは、バレエの嬉しいところです。

~♪~

振付:ルドルフ・ヌレエフ、音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ

クローサー (日本初演)

パリ・オペラ座リハーサルピアニストである久山亮子さんのピアノで踊る日本初演作品。

音楽は、いわゆるミニマル・ミュージック。
小さな音型がひたすら繰り返される幾何学模様のような音楽です。

以前はコンテンポラリーがあまり好きではなかったのですが、最近、とても面白いと思うようになりました。

言葉で表現できない、そして、音だけでも表現できないものを踊りが語る・・・

動きが想起させる感情に身を任せるのが心地よい作品でした。

~♪~

振付:バンジャマン・ミルピエ、音楽:フィリップ・グラス
ピアノ:久山涼子
出演:エレオノラ・アバニャート&オードリック・ベザール

 Sanzaru (日本初演)

「Sanzaru」って何かと思ったら、「見ざる・聞かざる・言わざる」だそうです。

ハンブルク・バレエ団の2人の踊りに、自己主張の強いヨーロピアンの感覚では「見ざる・聞かざる・言わざる」は生きているとは言わないのだろうな~と感じました。

自分を押し殺すような表現がとても印象に残った興味深い作品。

~♪~

振付 : ティアゴ・ボァディン、音楽:フィリップ・グラス
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

瀕死の白鳥

あまりに有名な作品ですが、バレエでなければ表現できないものを表す作品。

瀕死というには、やや煌びやかであったかもしれませんが、そこは美しければすべては許されるかも(笑)
天国への憧れを強く感じさせる白鳥でした。

レヴェランス(お辞儀)も白鳥なんですよね。最後まで美しいです。

~♪~

振付:ミハイル・フォーキン、音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ドロテ・ジルベール

感覚の解剖学

そして、本公演最後のコンテンポラリーは、現代社会を表すような風刺的な作品でした。

不思議なポーズや動きが多くて、コンテンポラリーって本当に面白いと思った!

古典は、バレエにおいても形式美であり、型の美しさですが、コンテンポラリーは型では表現できないものをあえてやるというリスクや冒険があり、人間の肉体とその動きの可能性を探るという意味でも興味深いです。

今回、さらにコンテンポラリーに目覚めました!

~♪~

振付:ウェイン・マクレガー、音楽:マーク=アンソニー・タネジ
出演:ローラ・エケ&ユーゴ・マルシャン

アザーダンス

そして、ショパンの音楽が登場です。
マズルカop.17-4、op.41-3、ワルツop.64-3、マズルカop.63-2、op.33-2

ショパンってマズルカ、ワルツ、ポロネーズと舞曲描いていますが、ピアノ作品であって、「そのままでは踊れない」って言われます。

久山さんの演奏は、バレエとショパンの両方とコミュニケートする素晴らしい演奏でした。

踊りも、チャーミング!やっぱり、マチューはカッコイイです^^

~♪~

振付:ジェローム・ロビンズ、音楽:フレデリック・ショパン
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ
ピアノ:久山亮子

『ル・パルク』より“解放のパ・ド・ドゥ”

最後は、モーツァルト ピアノ協奏曲第23番第2楽章で踊るパ・ド・ドゥ。

プログラムによると、「真実の愛にたどりついたふたりの踊り」とありますが、音楽と踊りによる悲しくも美しいラブストーリーと言った雰囲気。

パリ・オペラ座の香るようなエレガンスをあますところなく魅せてくれました。

~♪~

振付: アンジュラン・プレルジョカージュ、音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
出演:エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ

人生を変えたかったらバレエを観よう!

マンボにのせたエンディングは、瀕死だった白鳥もノリノリで登場し、会場の興奮は最高潮に!

何度もカーテンが開いて、最後は1階席は総スタンディング・オベーション。
大満足のうちに幕が閉じました。

欲を言えば・・・
音楽はやはりオーケストラ・ライブにしようよ~と言いたいな~。
(ピアノ以外は録音音源でした)

それはさておき・・・

そもそも、パリ・オペラ座で踊るような人は、踊るために生まれてきているわけですが、中でもエトワールになるような人は、それこそバレエの神様に選ばれし者です。

あふれる才能をストイックな練習と教養で磨いて出来上がる素晴らしい舞台は、人生をインスパイアされるに感動があります。

適当に自己啓発本を読み散らかしたり、安易なセミナーに行くより、偉大な芸術にライブで触れる方がよほど人生に影響を与えてくれる・・・

人生変えたければ、バレエを観よう!

って本気で言いたいですね。

エトワール・ガラ2016

日程/2016年8月3日(水)~7日(日) 全5公演
会場/Bunkamuraオーチャードホール

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