奇跡の存在~ロパートキナ 孤高の白鳥

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Bunkamuraル・シネマで上映中のロパートキナ 孤高の白鳥を観てきました。

ウリヤーナ・ロパートキナは、ロシアが誇るマリンスキーバレエのプリンシパル。
 
気高く完璧な踊りは、存在そのものが奇跡!
そんな彼女のインタビューと踊り、そして、彼女を知る人々のコメントからなるドキュメンタリー映画です。
 
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この記事を書いた人
Ina / 伊奈葉子

ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪


踊るために生まれてきた舞姫

 
踊るために生まれてきたようなロパートキナ。 
 
彼女は、2歳半のある日、誰もいない自宅で、自分でバッハのレコードをかけ、母親のドレスを着て踊ったのだそうです。
そして、母親に導かれて、ワガノワ・バレエ・アカデミーに入学します。
 
ワガノワ・アカデミーでは、さぞ優秀だったのだろうと思っていましたが、意外にも、「苦難の連続で、登るべき山がいつも立ちはだかっていた」と。。。
 
ワガノワでバレエを学ぶのは大変なことなの。
つまり、ワガノワが、想像を絶する大変なところなのですね。
 
 

思慮深い孤高の存在

 
誰にも迎合せず、流行にも左右されない。
目立ちたがらず、スタンドプレイもない。
パリ・オペラ座のエトワールだった アニエス・ルテステュが、ロパートキナを語った言葉。
「そして、それは決して簡単なことではない・・・」と。
 
ロパートキナは、とても静かに言葉を選んで語っています。
そのゆっくりと語られれることばのひとつひとつから、芯の強さと決して妥協しない姿勢が感じられました。
 
プログラムで知ったのですが、彼女はロシア正教の熱心な信者との事。
神へのゆるぎない信仰があるから、人に迎合することなく自分の信念を貫くことができるのでしょう。
 
そして、このステステュの他、振付家ジャン=ギョーム・バールやピエール・ラコット、現在のコーチであるイリーナ・チスチャコーワなど、彼女を語る人々の口から共通して聞かれたのは、このことばが印象深いです。
 
彼女はとても思慮深い。
バレエは、感情や情緒を肉体の動きで表現します。
だからこそ、知性が大事で、思慮深いということがどれほど大切で、そして、難しいことなのか、垣間見えました。
ロパートキナが至宝と呼ばれる所以でもあるでしょう。
そんなことばや、練習風景などから、伺える彼女の限りなく謙虚で、凄まじくストイックな姿勢には胸を打たれました。
 
自分の成し得る限界まで努力し、
無力を自覚して、自我から解き放たれた時に、
この世のものとは思えない奇跡の踊りが生まれる・・・
 
 
どの演目も素晴らしかったのですが、私は、「瀕死の白鳥」と「病めるバラ」(マーラーの交響曲No.5第4楽章アダージェット)が特に印象に残りました。
 
 
 
 

愛は人生の意味

 
数ある バレエの演目で何が一番好きかと聞かれ、「愛の伝説」と答えた彼女。
 
この作品は、女王メフメネ・バヌーが不治の病に冒された妹を救うため美貌を差出し、その妹が自分が愛する人と恋に落ち、葛藤する・・・という登場人物の愛と苦悩がもつれ合う物語です。
 
 

愛とは所有を求めると考えがちだけど、まさに愛とは何かという問題なの。
愛する人がいなければ幸せになれない?
愛って何?
恋人がいること?
・・・ 

 別のところで、彼女はこうも語っています。
 
愛は人生の意味だと信じており、
人間の生きていく上での課題は、
愛することを学ぶということだと思うからです。
 
前述のとおり、彼女は敬虔なロシア正教の信者です。
キリスト教の本質は、まさに、「愛」。
彼女の、存在そのものが奇跡と言われるのは、その強い信仰ゆえと感じました。
 
それを象徴するかのように、映画は、彼女のこのことばで終わります。
 
すべて神様のおかげ。
彼女は、自分が 踊るために生まれてきたことと、その与えられたものを人々のために活かすことを使命として受け入れています。
 
それは、ちっぽけな自我を捨て、偉大な目的のために自分を捧げることでもあります。
それゆえ、祝福に預かり、素晴らしいバレリーナとして、一人の人間として、彼女は人々に愛されているのでしょう。
 
踊りの素晴らしさもさることながら、生きる意味や姿勢について大きなインパクトを受けました。
もう一度観たいくらいです。。。
 
 
 
 
 
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Ina / 伊奈葉子
ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪