ロマノフスキー&ウルバンスキ 東響第640回定期演奏会

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5/28(土)5時半過ぎにアークヒルズに到着。

指折り数えて楽しみにしていた、アレクサンダー・ロマノフスキーのプロコフィエフ ピアノコンチェルト第3番を聴く時がやってきました。

ロマノフスキーは、1984年ウクライナ生まれ。
2001年、17歳の時にイタリアのブゾーニ国際ピアノコンクールで優勝。
早くからゲルギエフなど巨匠たちとの共演しています。

私が彼の演奏を初めて聴いたのは、2011年チャイコフスキー国際コンクールでした。
2次予選で演奏されたシューマン『交響的練習曲』の各変奏の多彩さ、移り変わる時の繊細な空気、そして、構成の見事さに息を飲み、ラフマニノフのピアノソナタ第2番の渾身の演奏に心打たれました。

そして、ファイナルのラフマニノフのピアノコンチェルト第3番の、それまでに聴いたどんな演奏とも次元が違う世界に、すっかり魅了されました。

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この記事を書いた人
Ina / 伊奈葉子

ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪


ロマノフスキーのプロコフィエフはきらびやか!

ロマノフスキーには、ロシアの作曲家の中でもラフマニノフが似合う印象があったのですが、プロコフィエフの見事な演奏に、改めて彼の途方もない才能を感じました。

何と言っても、目の覚めるようなきらびやかな響きに心奪われます。
そして、圧倒的なテクニックに支えられた切れの良さ!
胸のすく演奏とは、こういうのを言うのでしょう。

プロコフィエフと言えば、皮肉や風刺という形容詞が浮かびますが、皮肉が心地よく感じられるほどに美しく奏されました。

ウルバンスキが凄い!

ソリスト目当てにコンチェルトを聴きに来ると、時々、指揮とオケがもたもたしていて不満な演奏に出会うことがあります。

恥ずかしながら、ウルバンスキについて全く無知だったのですが、1楽章始まって間もなく、ふと、ロマノフスキーと指揮者ウルバンスキとの息が、とてもよく合っていることに気づきました。

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プログラムによると、ウルバンスキは、1982年ポーランド生まれ。
2007年にプラハの春国際指揮者コンクールで優勝し、現在は、米・インディアナポリス交響楽団音楽監督、ノルウェー・トロンハイム交響楽団首席指揮者、北ドイツ放送交響楽団首席客演指揮者を務めているとのこと。

この日のプログラムからは名前が消えていますが、3年ほどこの東京交響楽団の首席客演指揮者だったらしいです。

そのウルバンスキの棒は、とても流麗な音楽を形作り、オケの華麗な響きを生み出します。
その管弦楽の響きとピアノが絶妙に絡み合って、めくるめく世界を広げていきます。

それは、コンチェルトとしてあるべき姿。

当たり前でありながら、現実には、なかなか聴くことができない幸せな瞬間に立ち会うことができました。

ロマノフスキー&ウルバンスキの絶妙な相性

ロマノフスキーは、ピアニストとしてはイケメンですが、ウルバンスキも、負けず劣らず美形です。

このイケメンコンビ、ルックス通り、音楽もスマート。

スマートなスタイルをキープするためには、ストイックさが欠かせないのと同じように、二人とも、熱い情熱をたぎらせながらも、決して荒ぶらず、乱暴にならず・・

強い自制心で上品な演奏を志向する、そのベクトルが相乗効果でさらに高まり、極めて緊張感の高い、スリリングな演奏が生まれました。

こんな素晴らしい演奏は奇跡です!

ロマノフスキーとウルバンスキは、同世代ということでフィーリングも合い、また、お互いに音楽的にとても尊敬し合っているのがよく伺われました。

ロマノフスキーは、完全にウルバンスキを信頼し切っていましたし、ウルバンスキも、ロマノフスキーのやりたい事を理解し、「オケは任せろ!」的にバックを引き受けるという、幸せな関係・・・

いや~、相性って大切です。
良いコンビは、奇跡を生みます。

・・・と、ソリストも指揮者も満足な演奏に、聴衆ももちろん大満足。

盛大な拍手に応えてロマノフスキーが弾いてくれたアンコールは、J.S.バッハ=シロティ 前奏曲ロ短調。

どこまでも透明な、敬虔な演奏でした。。。

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休憩時間、アークヒルズの空。

美しく粋なチャイコフスキー

後半は、チャイコフスキーの交響曲第4番。

1楽章冒頭の、チャイコフスキー自らが「運命」「不吉な力」と名づけたこのファンファーレが、ズシンとお腹に響きます。
これ一発で、ウルバンスキのこだわりが伺われます。

幾分遅めのテンポかな?と感じたけれど、自然な呼吸で流暢に流れます。
心揺さぶられる気持ちよい演奏でした。

とても美しく、粋なチャイコフスキー・・・

ウルバンスキの、繊細でノーブルな感性と明晰な頭脳は、熱い情熱を水面下に押し込め、表面は極めて冷静さを保っています。
オケをじわじわと燃え上がらせ、棒の動きで自在に操る、優れた指揮者の条件であるカリスマ性も十分に持ち合わせています。

彼は、巨匠と呼ばれるようになるでしょう。

・・・で、聴衆は大満足で、熱烈に拍手しているのに、ウルバンスキくん、なかなか聴衆に向き合おうとしません。
顔の汗を悠々と拭き、そして、何か不満なのか、オケをチラっと見て顔を横に振り、それから、ようやく、笑顔になって聴衆にお辞儀をしました。

鳴りやまない拍手で、何度もカーテンコールに呼び戻されるも、ついにアンコールなし。

最後は、「もう、おねんねの時間なの・・・」とジェスチャーで示し、聴衆の笑いを誘いました。
コンサートマスターが立ちあがって、ようやく、聴衆も諦めたといった感じの終わりでした。

翌日に新潟での演奏会を控えていたので、仕方なかったかもしれませんね。。。

ロマノフスキーとウルバンスキ、また聴きたいです。

きっと、本人たちもまた共演したいと思っているのではないでしょうか。。。

東京交響楽団第640回定期演奏会

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調作品26
 ・アンコール:J.S.バッハ=シロティ 前奏曲ロ短調
<休憩>
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36

アレクサンダー・ロマノフスキー(ピアノ)
グレブ・ニキティン(コンサートマスター)
クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)
東京交響楽団

2016年5月28日(土)18時開演 サントリーホール

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ピアノと音楽、自然とお茶時間をこよなく愛するInaこと伊奈葉子です。慶應義塾大学文学部卒業。詳しいプロフィールはこちら♪